那覇簡易裁判所 昭和45年(ろ)242号 判決 1970年10月23日
主文
被告人を懲役六月に処する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は一九七〇年九月九日午前八時五〇分頃沖縄刑務所内の第二木工場内において、服役中の田場朝勇(二二年)と同日午前七時四五分頃取つ組合の喧嘩をした挙句、同人より「お前が殺人犯ならなにか」と云われた事等を思い出して憤慨し、刃体約二四センチメートルの両刃鋸を右手に持つて同人の左脇腹めがけて切りつけ、因つて同人に全治一週間の治療を要する左側胸部切創の傷害を負わせたものである。
(証拠の標目)(省略)
(累犯たる前科)
被告人は一九七〇年五月二一日那覇地方裁判所において、殺人罪により懲役一〇年に処せられ、同年六月五日該判決は確定し、目下その刑の執行を受けているものであり、この事実は、被告人の当公判廷における供述と、前科調書によつて認める。
(法令の適用)
被告人の判示所為は刑法二〇四条に該当するので所定刑期中懲役刑を選択し、前示前科があるので同法五六条一項同法五七条により累犯加重をした刑期範囲内で被告人を懲役六月に処し、訴訟費用の負担につき刑事訴訟法一八二条一項但書により被告人に負担させないことにする。